みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

一貫張りの話

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●埼玉県小川町にある埼玉伝統工芸会館で「一貫張り(いっかんばり)」づくりを体験してきました。
一貫張りとは、竹ざるや竹かごに和紙をはり、その上から柿シブやこんにゃくノリをぬった工芸品です。

●漆(うるし)でコーティングされた高級紙細工が「一閑張り」であり、それが大衆化して柿シブなどを塗布するようになったのが一貫張りなのだとか。
今回は、直径約20センチの竹ざるに紙をはりつけ、柿シブをぬって完成させるまでの工程を、約2時間かけて実習しました。

●シンプルな和紙はもちろんのこと、紺や茶に草木染めされた和紙も用意されていて、素材は勝手に選べます。
日本酒のビンからはがしたラベルをコッソリ持参し、それをシメのポイントに貼りつけたところ……指導にあたった職人さんが「いいですね! 私も日本酒が大好きだから、コレ、マネさせてもらいます」と、大絶賛。

●一方、「一貫張りって何じゃらホイな?」とボヤいていた妻も意外と熱中して、江戸期の古紙をはり散らした力作を完成させました。
ちなみに、現代紙よりも古い時代の紙のほうが品質はいいのだそうです。
妻の作品を見ても、撥水性(はっすいせい)や光沢が格段にすぐれているのは一目瞭然。

●さて、作業を終えてから柿シブが乾くまでの間、近所の温泉に足をのばしてリラックスしました。
しかし、自由に移動できるレンタル自転車を利用したのが裏目に出てしまい……超方向オンチの妻は、帰り道でまさかの迷子となりました。

●ほうぼうを探し回って、ようやくわが奥さんを発見。
私が大声で呼ぶと、彼女は「道を誤るのって、曲がる時なんですな」と、何かを悟ったような口ぶりで平然と近づいてきました。

●あやうく、ブン殴りそうになりました。