みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

守貞謾稿の話

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●「守貞謾稿(もりさだまんこう)」とは、江戸末期の庶民の暮らしを紹介した百科事典です。
この書籍について勉強する講座が、近所の博物館で開催されました。

●さて、著者の喜田川守貞は大阪で生まれ育ち、30歳を過ぎてから江戸で暮らした商人です。
当時は今とくらべものにならぬほど言葉や習慣の地域差がはげしく、守貞は江戸や大阪の差異を克明に記録することを思い立ちました。

●彼の本には、「浮世絵の描写はインパクトをねらったウソや誇張が多い」といったことも指摘されています。
江戸女性のかんざしが異様に長く描かれているのは、まさしく絵空事なのだとか。

●また、江戸と大阪ではカマドを設置する向きが逆だったそうです。
朝に米をたく江戸と、昼に米をたく京阪の食文化の違いなどが原因らしい。

●実に興味深いテーマでしたけれど……残念ながら、講師が勉強不足で不完全燃焼。
配布された資料の解説も、予習したインターネット事典の記述とまったく同じでガッカリしました。
まぁ、無料講座だから、あまりゼイタクはいえませんが。

●なお、江戸時代の風俗をレポートした書籍では、「京女の立ち小便」にクローズアップしている滝沢馬琴(たきざわばきん)の「羇旅漫録(きりょまんろく)」も面白そうです。
京都の道ばたにはオシッコ用のオケが置いてあり、男性はもちろんのこと、女性も着物をからげて、そこに小水を飛ばしたという話です。

●妻に「そんなこと、本当にできるのかな?」とたずねたところ、彼女はこともなげに「できますよ」と即答。
「この歳になっても、知らないことってたくさんあるなぁ」と感じ入りました。