みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

石器づくりの話

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●先日、新潟県津南町(つなんまち)にある縄文体験施設「なじょもん」で、石器づくりの講習会に参加しました。
北海道産の黒曜石を材料にして、石鏃(せきぞく)……つまり、石の矢じりをつくる実習です。

●使用する道具は、鹿の角、スポンジ台、動物の皮、軍手といたってシンプル。
黒曜石とは天然のガラス材ですから、いとも簡単に割れます。
鹿角の先を石のヘリにあてて、やや下へ押し込むように力を加えると、アウトラインにそって下面がバキバキとはがれ落ちていくのです。
こうして石は薄く、かつ鋭利になるわけです。

●古代人は、この「押圧剥離(おうあつはくり)」という加工法を、弾力のある自分の太ももを台にしておこなったと考えられています。
スポンジ台を敷くのは、この太ももの代わりです。

●厚みが均一でない天然石を、表裏そろえて平べったく仕あげるのは、なかなか大変でした。
どうしても反りが出てしまい、満足のいく形にできないのです。
なお、講師のご好意で、熱望していた石槍(いしやり)づくりも体験しました。
つくり方の基本は、石鏃と同じ。

●指導してくれた先生は、子どもの時分から石器づくりが趣味だったそうです。
ビンの底を材料にしたり、歯ブラシの柄を加工具にしたりして、研究を重ねたのだとか。
話題豊富な方でたいへん勉強になりました。

●しかし、出し抜けに「あなたは多分、縄文の血が一割ぐらい入っているね」といわれた時は、少々ビックリ。
先生のお話によると、縄文人弥生人の混血化は意外と進まなかったようで、現代人はたいがい弥生の血統が強いらしい。

●体毛が濃くてバタくさい顔つきの私は、「そこそこの縄文系」とのこと。
まぁ、そういうご指摘はたまにいただくものの、血すじの割合まで診断されたのは今回が初めてでした。

●ところで、別ブースで勾玉(まがたま)づくりを体験していた妻は、背が低くて一重まぶたという、かなりの弥生系です。
ただし彼女は、大のお米ギライ。
その点からすれば……ライスなしの食事にたえられない私よりも……「パンが好き。お肉があれば、このうえなく幸せ!」という妻のほうが、縄文寄りの人間かも知れません。