みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

国立劇場歌舞伎鑑賞

●今年10月に閉場する国立劇場へいってきました。
いただきもののチケットをムダにせぬよう、大慌てで仕事を切りあげ、開幕ギリギリにすべり込みセーフ。

●演目は「双蝶々曲輪日記(ふたつちょうちょうくるわにっき)」でした。
主演は中村芝翫(なかむらしかん)で、彼の前名は中村橋之助(なかむらはしのすけ)といいます。
元アイドルの三田寛子と結婚した役者ですが、不倫をくり返し、その都度マスコミに叩かれているみたい。

●それはさておき、久しぶりの歌舞伎鑑賞は思った以上に楽しかったです。
最初はちょっと退屈だったものの……コミカルな展開にひきつけられました。
また、セリフに「関口流柔術が出てきたり、「手裏剣でホクロをきり落とす」という神技があったりと、古流武術家のハートをくすぐるシーンもポイントでした。

●しかし、一番印象に残ったのは、私の前に座っていたオジさん。
幕開けと同時にイビキをかき出し、幕引き寸前に目を覚ますなり、いの一番に帰っていったのです。
彼はいったい、何をしにきたのでしょう?

●この話を妻にしたところ、「誰かからもらったチケットをムダにしたくなかったんだよ。トモオさんと同じタイプの人だね」といわれました。
なるほど。
歌舞伎に親しみがないオジさんで、さらに彼の場合、関口流や手裏剣にも興味がなかったのかな?

●でも、居眠りのためだけに劇場へ足を運ぶとは……律儀なんだか、ヒマなんだか。
やはり、変わった人だと思います。