●東京都北区・十条駅前にある「メソポタミア」は、日本で唯一「クルド料理」の看板をかかげているお店。
そのオーナーであるワッカス・チョーラク氏は、日本クルド文化協会事務局長や、東京外国語大学のクルド語講師もつとめています。
先日、彼の講座にいってきました。
●クルド人は、中東に広くにまたがって生活してきた山岳民族です。
しかし、第一次世界大戦によるオスマン帝国崩壊で、クルド人居住地は、シリア・イラク・イラン・トルコなどに分断されました。
その結果、クルド人は、世界最大の「国を持たない民族」となったのです。
推定人口は、3千万人~4千500万人とのこと。
●ちなみに、クルド語は4つの方言でなりたっており、標準語がありません。
ワッカス氏が大学で教えているのはクルマンジー方言。
その方言は、クルド人の約70%が使っているそうです。
●さて、クルド料理の基本調味料は、トマトと唐辛子をペースト状にした「サルチャ」です。
肉類ではラムが好まれ、串焼きの「ケバブ」は、わが国でもなじみのあるメニュー。
ヨーグルトもよく使われる食材であり、塩などを入れて飲んだり、ヨーグルトの冷静スープも定番とのこと。
自生のピスタチオ豆が原料である「メソポタミアコーヒー」も、人気が高いらしい。
●なお、今回の講義では、クルドスイーツの実習が目玉だったものの……ワッカス氏の身内に不幸があって準備が間に合わず、急きょ中止となりました。
代わりに「レワニ」というトウモロコシの粉でつくったケーキと、「チャイ」と呼ばれる紅茶を頂戴。
●「クルド菓子はメチャクチャに甘い」と聞いていましたが、レワニはさほどでもなし。
「生地があらいマドレーヌ」といった印象でした。
●ともあれ、中東の歴史はかなり複雑で巨大です。
差別や弾圧に苦しんでいるクルド人問題も、勉強しはじめるとキリがない。
そのうち、腰をすえて学びたいと思っています。