みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

仏像詣

●「大倉集古館」は、東京都港区の老舗ホテル「ホテルオークラ」敷地内にある日本初の私立美術館。
実業家・大倉喜八郎が「廃仏の風潮から仏教美術品を守ろう」と、仏像や仏画をコレクションしたことでも知られています。

●その白眉は、国宝の普賢菩薩騎象像(ふげんぼさつきぞうぞう)です。
魅力は、平安期の仏像らしいフンワリとした清浄さ。
大きすぎず、小さすぎもしないサイズも絶妙だと思います。

●さて先日、それらの収蔵品を公開した「信仰の美」展にいってきました。
年末年始は寺社詣をしなかったので、「美術館で仏像参拝」とシャレこんだワケです。

●放浪の仏師・円空の「不動明王座像」は、やはりステキでした。
厚みのない板切れに彫ったとは思えぬ立体感とか、アフリカンアートのごとき呪術的なオーラに感じ入りました。
下村観山による「不動尊」も、金泥をサイケデリックにあしらっていて、これまた面白かったです。

●「法蓮上人座像」は、水晶でつくった目玉が映える大傑作。
往年のアクション俳優・千葉真一みたいな……暑苦しい情熱がほとばしって見えました。

●しかし、何よりも心うたれたのは、入口正面にかざられた中国北魏時代の如来石仏像です。
3メートルを超える巨体ですが、その表情は実に繊細。
ちなみに、地下1階の階段わきに置かれた中国伝来の獅子像も逸品でした。

宮本武蔵は「神仏を尊びて、神仏を頼らず」との金言を残しましたが、私はあきらかにその逆のタイプ。
神様そっちのけで、「あわよくば、ご利益にあずかりたい」と考えたりします。
ともあれ、今年も精進してまいります。