みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

忍野八海(おしのはっかい)の話

●私の妻は以前、富士五湖のひとつである河口湖をおとずれた際、「あの正面にあるお山……富士山にそっくりだねぇ」と、衝撃的な天然ボケをかましました。
そんな彼女を連れて先日、河口湖近辺にある「忍野八海(おしのはっかい)」を観光。

忍野八海は、富士山などを水源とする湧水群です。
富士の修験者が身を清めたという霊場で、8つの湧泉は、北極星と北斗七星に見立てられています。

世界文化遺産に登録された影響なのか……とにかく外国人観光客が多くてビックリしました。
公衆トイレでは、西欧系のおじさんたちが黙々とハミガキ中。
おそらく、レンタカーで移動する車中泊の人たちでしょう。
そのバイタリティーにも、ひたすら圧倒されました。

●「水を求めた行者を冷たくあしらったところ、急ににごってしまった」といういわくつきの「濁池(にごりいけ)」も、忍野八海の一つ。
「濁っているようには見えないな。ここの水もかなり澄んでいるぜ」と私がいうなり、妻は「ややっ!」と声をあげて、腹を出して浮かんでいるニジマスを発見しました。

●「ニシキゴイみたいに超デカいッス。おそらく老衰死だな……死亡推定時刻は10時間前!」
池のふちにしゃがみ込んだ彼女は、科捜研の所員みたいな顔をして断言。
ともあれ、確かに大きなマスがうようよしており、私もしばしの間、水面をのぞき込んでいました。
あれだけ透明度の高い水の中にも、エサになる小動物が豊富に生息しているのでしょうか?

●さて、帰りがけに、風情ある近隣の製麺所で生そばと生うどんを購入。
結構安価でしたが、帰宅後に早速ゆでて食べたところ、コシがたいへん強くて実においしかったです。
「さすがは名水仕込み! 麺づくりには軟水が適しているんだじょ」
わが家の科捜研はこれまたしたり顔で、チュルチュルとそばをすすっていました。