みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

探偵小説シンポジウム

●先日、旧江戸川乱歩邸のある立教大学池袋キャンパスで、「雑誌『宝石』と戦後日本の探偵小説」という公開シンポジウムがありました。
なお、宝石は、太平洋戦争敗戦の翌年に創刊されたミステリ雑誌です。

●「本格探偵(推理)小説」という言葉は知っていましたが、「変格探偵小説」というジャンルもあることを今回初めて知りました。
また、純文学と大衆小説の中間的な作品を「中間小説」と呼ぶこともお勉強。

●アカデミックな研究発表についていけないところもありましたけれど、江戸川乱歩が探偵小説の地位向上に尽力した話などは面白かったです。
乱歩は、新聞・劇場・映画・警察・県議会関係者や文化人との交流を深めながら、探偵小説の支持をひろげようと奮闘したのだとか。

●東京防犯協会連合会が版元になった『蜘蛛』という防犯雑誌にも、乱歩は深く関与したとのこと。
彼は推理作家の洞察力を披露すべく、大ニュースとなった帝銀事件下山事件にもコメントを寄せたそうですが……いずれもマト外れな推理に終わったみたいです。
ともあれ、「門番から大統領までが同じように楽しめる」という大衆性や、「論理的思考を提供する」との大義を掲げ、「探偵小説は日本の民主化に一役買う文芸だ」と主張された時代があったらしい。

●昨今、海外でも知られる日本の名探偵といえば、「コナン」や「金田一少年」といったマンガの主人公ばかり。
乱歩がこの状況を知れば、どう感じるでしょうか?

●ちなみに、私はハードボイルドが好きです。
「強くなければ生きていけない。優しくなければ生きている資格がない」の名言で知られる、私立探偵フィリップ・マーロウ
彼が活躍する探偵小説は、アメリカ文学の傑作だと思います。