みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

お歯黒体験講座

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気象庁本庁の1階にある港区立みなと科学館で、「お歯黒(はぐろ)体験講座」を受講してきました。
お歯黒の歴史を学んだり、実物をサメの歯に塗ってみるという「化粧展」関連のイベントです。

●お歯黒の起源は不明ですが、魏志倭人伝中には「倭国より南方400里に歯黒国がある」といった記述があるのだとか。
平安時代中期になるとお歯黒が習慣化し、「源氏物語」にもお歯黒を「美しう清らなり」と評する一文が見られるそうです。

●男色が流行した鳥羽上皇のころから、オシロイや紅、お歯黒をする男性貴族が目立ちはじめ、それが高位男性の成人儀礼ともなっていきます。
ついには、武家社会にもお歯黒や薄化粧がはやりだし、「お歯黒をしない者は無礼だ」という風潮まで生まれたとのこと。
「黒は不変の色。すなわち、武士のお歯黒は忠義の証」というワケで、未熟者は「白歯者(しらはもの・あおはもの)」と呼ばれたらしい。

●江戸時代になると、お歯黒は、再び女性の化粧と位置づけられます。
既婚女性や、結婚適齢期を過ぎた女性の身だしなみとして一般化ました。
が、お歯黒を染めつけるのはたいへんな手間なので、旅先でも簡単に塗れるインスタントお歯黒が登場。

●今回の体験講座では、そのインスタントお歯黒をサメの歯に塗布し、歯表面のエナメル質の有無によるお歯黒ののり具合などを実験しました。
「かねみず」と「ふしのこ」の成分が入った粉末を水で溶くと、紫から小豆色、小豆色から黒へとだんたん変色していきます。
お醤油みたいな風合いでした。
それを自分のツメにも塗ったのですが……水洗いでキレイさっぱり消失。
お歯黒を定着させるのは、実に困難なことを実感しました。

●なお、ちょっぴりナメてみたところ、ほぼ無味無臭。
お歯黒は虫歯予防と歯茎の健康にいいとの話なので……ひょっとしたらブームがくるやもしれません。

●男性化粧品として流行したらどうしよう?
不気味だけれど、試したい気もします。
サムライのたしなみだものなぁ。