みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

埼玉県名刀展の話

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●門人がすすめてくれた日本刀展にいってきました。
川越市立博物館と埼玉県刀剣保存協議会の蔵刀を一般公開する企画展で、期待以上に見ごたえがありました。

●最初の展示品は、「三条吉家(さんじょうよしいえ)」の脇差
吉家は、お能にも登場する刀匠・三条宗近(さんじょうむねちか)の息子と目される名工です。
山城伝(やましろでん)という一番古い系統に分類される刀であり、実にエレガントな姿でした。

●また、ノサダの愛称を持つ美濃伝(みのでん)の「兼定(かねさだ)」も、ひょうひょうとしたクールさがよかったです。

●となりにいた小学生は、「お父さん。あっちのほうがピカピカ光っているから、あれが一番いい刀でしょう?」と、子どもなりの目利きをいきなり披露。
一方の父親も、「この刀だって、ピカピカしているぞぉ」と、親子トークを盛りあげていました。

●「ピカピカ」にこだわらない私は、藤原清人(ふじわらのきよんど)の作が一等気に入りました。
彼は、幕末に活躍したレジェンド・源清麿(みやもときよまろ)の弟子です。
清人の作品は、柾目(まさめ)というシマ模様をした鉄肌がとても印象的。
一見すると静かなようでいて、よく見ると流れの速い川みたいな深いうねりが、とにかくステキなのです。

●別室の常設展示では、江戸城を最初に築いた太田道灌(おおたどうかん)が、川越城も創設していることを学びました。
イヤミなくらいに傑出した武将だった太田道灌は、近い将来、ジックリと調べてみたい偉人。
ますます興味を深めました。

●博物館を見学した後は「蔵づくりの町並みを散策しようか」とも思いましたけれど……やはり休日の川越はすごい人出。
結局は断念しました。
交通量の激しい車道と、観光客のあふれる歩道が未分化なこの街は、のんびり観光するには少々不向きなのです。

●敬愛する太田道灌には……築城だけなく……そのあたりを見すえた城下町の整備もしてほしかったなぁ。