みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

初めての詩吟

f:id:kenbujyuku:20190617005329j:plain

●刀をかざして踊る「剣詩舞(けんしぶ)」を体験して以来、その伴奏となる「詩吟(しぎん)」に興味がありました。
そしてつい先日、近所で詩吟の無料体験会が開かれたので、これ幸いと参加。

●詩吟は、漢詩や和歌に「節調(せっちょう)」を加えて読みあげる伝統芸能です。
ちなみに節調とは、平たくいうと、演歌の「コブシ」のようなもの。
けれど、このビブラートはあくまでも素読の飾りであって、強調しすぎるとヤボらしい。

●さて体験講座では、平音、高音、低音を順になぞる発声練習をへて、節調の「大(おお)まわし」や「小まわし」を「古城」という詩歌で稽古しました。
リズムに乗ることよりも、一言一句をキチンと伝えることを注意されました。
ですから、「英語などのアクセントは語気の強弱でつけるが、日本語は音程の高低差でつける」とか「ノドの奥で発する<お>の音はこもりやすいので、強く押し出すように心がける」など、音声学的な知識も随所でお勉強。

●なお、本来の詩吟は無伴奏ですけれど、現在は楽器に合わせて吟じるのが一般的です。
本講座でも、先生はエレクトーンを奏でながらレクチャーしていました。
それゆえ、レッスンは音楽教室のごとき様相。
したがって、「絶望的音感」しか持たない私には少々ハードルが高かったです。
「このキーで大丈夫ですか? もう少し下げましょうか?」とたずねられても、正直、キーというものがよくわからない。
心底困りました。

●とにかく、アラビア語とクサビ形文字を混ぜ合わせたみたいな「吟譜記号」を血まなこで追いつつ、必死で先生の詩吟を復唱。
しかし、すぐに難渋し、そのたびに「声が小さいですよ」とたしなめられました。
講師をはじめ、メンバーのすべてが女性だったこともあり、背中がひきつるほどに緊張。
もう逃げ出したいほどの苦行でした。

●配布チラシに「詩吟でストレス発散をしましょう!」と入会勧誘のフレーズが掲げられていましたが、オンチにはとても無理な話。
むしろ、神経をすり減らすばかりです。
当分は、鼻歌をうたう気力もございません。