みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

バードカービング教室

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●彩色をほどこした精巧なトリの彫刻を「バードカービング」といいます。
そのルーツは、カモなどをおびき寄せる木製のオトリだそうです。
仏像彫刻でも腕をふるった剣豪・宮本武蔵のごとく、「木像づくりでおのれの精神性を深めるのも一興かな?」と思い立って、区が企画する2日間の短期講座に参加しました。

●使用した材料は、ジェルトンという南方産の木材です。
「家具の骨組みなどに使われるやわらかい素材」との話でしたが、本講座で用意されたジェルトンは講師も驚くほど硬く、削るのに相当な苦労をしました。
なお、使う道具は非常にシンプルで、ナイフと彫刻刀、それにエンピツくらい。

●さて最初の作業は、まず側面図と上面図を切りとって型紙をこさえて、そのりんかくを木材の側面と上面に写しとることでした。
その後は、木材の中心線を見失わぬように留意しつつ、側面と上面を交互に削って丸みを出していくのみです。
今回はシジュウカラをつくるコースでしたが、製作時間の都合で彩色は割愛。

●羽を閉じたトリの形状は結構シンプルなので、さほど悩まずにとり組めました。
でも、残念ながら……できあがった作品は、シジュウカラだかヒヨコだかよくわからぬ、オモチャっぽい小鳥となり果てました。

●立体をなぞる難しさは、一方向からの視点だけで全体を把握できないところです。
これは、武術をふくめた身体操作にも共通すること。
平面的に理解しがちの視覚情報を、三次元にトレースするのは本当にやっかいな作業です。

●しかし、「難しいからこそ面白い」のが、芸道の奥深さというものでしょう。
実際、バードカービングは実に楽しかったです。
チャンスがあれば、ぜひ仏像製作にも挑戦したい。
妻に似た不動明王を彫りあげるのが、チョッとしたもくろみです。