みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

銅版画講座

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横浜美術館のワークショップ「1日体験銅版画」に参加してきました。
同館は、いまだに開発の続くみなとみらいエリアにある大きな美術館。

●ところでわが国の版画は、浮世絵などの「木版画」が主流です。
しかし、ヨーロッパでは彫金技術を応用した「銅版画」がいち早く発達しました。
木版の場合ですと、でっぱりにインクや絵の具をのせて刷りますが、銅版画はへこみにつめたインクで転写します。

●銅版画の利点は、硬質の凹線によるモノクロ写真のような精密表現です。
金属をとかす「腐蝕(ふしょく)液」を利用すれば、微妙な明度をかもすこともできます。
ちなみに紙幣に印刷されている肖像画は、「エングレービング」という手法で描かれた銅版画です。

●さて今回は、9センチ×12センチという小作品づくりで、下絵はあらかじめ準備するように指示されていました。
カラスのスケッチなど……何を画稿にするか迷ったあげく、平田弘史(ひらたひろし)の傑作劇画「首代引受人(くびだいひきうけにん)」のシブいイラストを模写。

●当講座では、膜を張った銅版を鋼鉄針で引っかき、それを腐蝕液にひたして版を完成させる「エッチング」という手法が課題でした。
が、シャープペンシルよりも先の細いニードルを使用するため、目はかすみ、版までの距離感をつかむのも一苦労。
「これが老眼というものか?!」とショックを受けましたけれど、仁王のように目をこらしつつ、何とか彫りあげました。

●松ヤニの粉で明暗をつける「アクチアント」技巧を加えた版も製作して、合計4枚を印刷。
その過程で、刷る紙の種類によってずいぶんと作風が変わることも勉強しました。

●なお、ひさしぶりの横浜はとても開放的。
初夏の港町は活気にあふれ、私も浮かれ気分になりました。
わが奥さんのおみやげとして、崎陽軒(きようけん)の「シュウマイ弁当」を購入。
そのお弁当をお供にし、温泉地へ旅行したい衝動にもかられました。

●けれど、眼精疲労ですでにフラフラ。
なさけない話ですが、周辺散策もあきらめて、おとなしく家路につきました。