みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

迦葉山胎内くぐり

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●コロナウィルス騒動は、とうとう緊急事態宣言にまで発展しました。
その是非はともあれ……まぁ、半世紀弱も生きていれば、いろいろなことに遭遇するものです。

●さて先日、「誰もいない山トレッキング」の第二弾を敢行しました。
向かった先は、群馬県沼田市にある迦葉山(かしょうざん)でした。
同山は「日本三大天狗」の一つとされる弥勒寺があり、この奥の院を設けた和尚台(おしょうだい)は、大きな亀裂の入った巨岩。
この割れ目をよじ登る「胎内くぐり」に挑戦したのです。

●まずは、弥勒寺の天狗堂を参拝。
そこで妻は、「欽ちゃん笑見くじ」という占いに飛びつきました。
タレントの萩本欽一とコラボレーションして製作されたおみくじなのだとか。
彼女は「凶」ならぬ「区」のご宣託を受け、「こりゃあ確かに笑えるッスね」とご満悦。

●そこから約30分、急勾配の山道をたどって和尚台を目ざしました。
超プラス思考のわが奥さんは、「足の甲とスネがくっつきそうなスゴい坂だけど、いいストレッチになりますなぁ」と意気揚々。

●しかし、さすがの彼女も、想定外に巨大な胎内くぐり岩を目の当たりにして、態度を一転させました。
「こりゃあ無理だ。落ちたら死ぬッス」と、心底おじけづいたらしい。
「落ちなきゃ死なない」という私の強引な説得に負け、ほぼ垂直な岩の切れ目に下げられた鎖にしがみついて、半べそをかきつつも登攀(とうはん)。

●高い岩場に仁王立ちした妻は、「後先を考えず、一歩いっぽに集中すれば楽勝なんスね」と、ドヤ顔で語っていました。
つくづく「お調子者だなぁ」と感心した次第です。

●とにかく、山の空気はシャバよりも気持ちがいい。
ただし、そのシャバのよどんだ空気こそが、我われの生活を支えているのも事実。
まぁ……半世紀弱も生きていれば、いろいろなことを考えさせられるものです。