●アニメ制作会社が集中する杉並区には、「杉並アニメーションミュージアム」という博物館があります。
同館の館長である鈴木伸一(すずきしんいち)氏の講演会が、先日開催されました。
●鈴木氏はベテランのアニメーターで、藤子不二雄のマンガに登場する「ラーメンの小池さん」のモデルとしても有名。
なお、彼も、戦後マンガ界のトップランナーらが共同生活したトキワ荘に住んでいました。
●トキワ荘メンバーが設立したアニメプロダクション「スタジオゼロ」は、八百屋さんの木造倉庫からスタート。
そこでは「オバケのQ太郎」というマンガも合作され、その中のサブキャラクターとして不思議な存在感を放ったのが、不条理なくらいにラーメンばかり食べている小池さんでした。
●さて、この会社は8年ほどで解散しましたが、鈴木氏はアニメの仕事を続行し、テレビ、コマーシャル、劇場用作品を製作。
講演中に上映された「ピコレット」というトイレ芳香剤のコマーシャルは、まさに昭和の映像でした。
なつかしすぎて、思わずうなった次第です。
●また、私も購読していたアニメ情報誌「アニメージュ」の「アニメ塾」というコーナーの担当者は、鈴木氏だったとのこと。
聞けば聞くほど「スゴい人だな」と感激しました。
●満州引き揚げの生なましい戦争話をひょうひょうと語ったり、手塚治虫やウォルト・ディズニーといった大御所との交流も鼻にかけない人となりは、実にさわやかでした。
ただし、ご高齢のせいか……話があっちこっちに飛び、とりとめがありません。
「日本のアニメの礎(いしずえ)」というテーマをほとんど無視して、結局はしりきれとんぼのまま終了。
●同行した妻は、「あの年代の人って、やっぱり戦争の話が長くなるんだね」とヘンなところに感心していました。
ともあれ、とても楽しい講話でした。
●ちなみに来年、トキワ荘を復元したミュージアムが豊島区にオープンするらしい。
尻目にかけていましたが、にわかに足を運びたくなっています。