みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

大津絵の話

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●大津絵(おおつえ)とは、手書きの仏画みやげを起源とする伝統工芸品です。
その名のとおり、滋賀県の大津が発祥地。

●大津絵は肉筆を基本とする彩色画ですが、図案を単純化し、色数を限定することで、一定の品質と大量生産を可能としました。
民芸運動を起こした柳宗悦などの文化人や、ピカソらの芸術家も深くほれ込み、高く評価したのだとか。

●この大津絵の展覧会「もうひとつの江戸絵画 大津絵」が、東京駅にある東京ステーションギャラリーで開催中。
妻が「是非いきたい」といっていたのですが、コロナ対策が敷かれているため、1時間枠の予約チケットを事前購入しなければならないらしい。
すなわち、拝観がちょっと面倒なのです。

●「そもそも大津絵って、美術館で見るようなものだろうか?」と思いつつ、インターネットオークションを調べていたら、高橋松山(たかはししょうざん)という大津絵師の「鬼の寒念仏(かんねぶつ)」を発見。
入札したところ、競り合いのないまま、3千円(送料込み)という安値で落札できました。

●「鬼の寒念仏(かんねぶつ)」とは、僧衣をまとった鬼、つまり見かけだおしの聖職者を描いた風刺画です。
厄除けの護符としても人気の高いモチーフ。
早速、妻にプレゼントすると「そう、これッス! 鬼の勧進帳。有名なんだよね」と、大喜びしていました。

●ちなみに勧進帳は、義経と弁慶が登場する歌舞伎の演目で有名。
鬼の寒念仏にも、「奉加帳(ほうがちょう)」という勧進帳みたいなものが描かれていますが……まぁ、率直にいって、あまり関係はありません。

●「子どもの夜泣き止めに霊験あらたか」という鬼の寒念仏。
わが奥さんのイビキ、および寝ごとにも効くかしらん。