みっか坊主日記 弐(2)

手裏剣(しゅりけん)道場の師範がつづる突発的ダイアリー<続編>

越後のミケランジェロ

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●この数年、夏になると「ぬる湯」の温泉を訪れています。
一般の温泉はだいたい40度以上ですが、ぬる湯は30度台。
低温の温泉は長くつかってものぼせず、夏場は体の芯からリラックスできます。

●今回は、新潟の「貝掛(かいがけ)温泉」と「栃尾又(とちおまた)温泉」を回りました。
夫婦水入らずというか、「夫婦ぬる水びたり」といった感じ。

●さて湯治ついでに、前回足を運んだ際、定休日で見学できなかった十日町市博物館を再訪しました。
同博物館は、この6月に新博物館をオープンしたとのこと。
場所が斜め向かいに移り、新しくなっているのにビックリしました。

●館内展示を見て初めて知ったのですが……国宝の「火焔型土器」は14点もあるのだとか。
笹山遺跡から出土した57点もの土器(そのうち14点が火焔型土器)が、すべて国宝指定されているのです。

●さらに魚沼市では、新潟が誇る幕末の名工・石川蝶雲(ちょううん)による彫刻、フスマ絵、コテ絵などを西福寺で拝観。
こちらも前々から、ぜひ一度見たいと思っていたのです。
「蝶雲は、越後のミケランジェロとも呼ばれている彫刻家である」と、院内に流れる案内テープで知りました。
誰が呼び出したのかは知りませんけれど……ミケランジェロと比べる必要があったのか?

●また、蝶雲の手による天井彫刻「道元禅師猛虎調伏の図」が残る西福寺開山堂は、「世界遺産日光東照宮にも劣らぬ県指定有形文化財ゆえ、『越後日光』ともいわれている」と、もらったパンフレットに書いてありました。
誰がいい出したのかは知りませんけれど……東照宮と比べる必要があったのか?

●というワケで、少々マユツバながら、西福寺の蝶雲作品を実見。
すると、これがまさしく「越後のミケランジェロ」であり、「越後の日光東照宮」といった印象でした。
マンガキャラクターの立体化などで定評のある「海洋堂」を先どりしたような作品群に圧倒された次第。
いわば、緻密さと大胆さを兼備した親しみある作風です。

海洋堂フィギュアのファンである妻も、「なるほど、すげぇッス!」と感激していました。
「しかしねぇ、『越後のミケランジェロ』ってセンスはどうでしょう?」
やはりね……。
わが妻もそこに引っかかったか。